九州大学 先端素粒子物理研究センター Research Center for Advanced Particle Physics

Archive for the ‘ATLAS実験’ Category

CERN LHCの陽子衝突実験が昨年10月に2015年のデータ取得を終えてから、はや半年が経過しました。年末からはビーム強度の向上を目的とした加速器の改善が、今年3月からはその巨大なリング内にビームを投入しての調整が行われていました。

そしてついに、LHCの陽子衝突実験は2016年のデータ取得を開始しました!


ATLAS Events at 13 TeV - First 2016 Stable Beams
ATLAS検出器で観測された低強度ビーム(13 TeV)における陽子陽子衝突事象

今年は昨年から開始されたRun 2の2年目にあたり、昨年と同じく重心系13 TeVにてデータ取得を行います。

ヒッグス粒子、ペンタクォーク、そして750 GeV付近に現れた新しい共鳴状態の兆候など、新たな話題に事欠かないLHC。本年の成果にも期待が高まります。

参考サイト
The 2016 physics season starts at the LHC | CERN
CERN experiments observe particle consistent with long-sought Higgs boson | CERN press office
CERN’s LHCb experiment reports observation of exotic pentaquark particles | CERN press office
Bumps in the light | ATLAS

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以前に当サイトで紹介した通り、今年5月からLHCで世界初となる重心系13 TeVでの陽子同士の衝突実験が行われていました。
この陽子衝突実験における2015年のデータ取得を完了した事が11月4日にプレスリリースされました。

LHC completes proton run for 2015, preps for lead | CERN

今回の測定では400兆回もの陽子の衝突イベントが観測された事が伝えられており、アップグレードから実験を再開した初年度を無事に完走できたという事になります。

今年の陽子衝突実験を終えたLHCでは、ビームを切り替え、鉛原子核同士の衝突実験を行います。
こちらは、重い原子核同士の衝突によりピッグバン直後のクオーク・グルーオンプラズマの状態を再現し、研究します。

鉛原子核同士の衝突のイベントディスプレイ
2010年の実験においてATLAS検出器で得られた鉛原子核同士の衝突イベントディスプレイ
(画像はCERN Document Serverより)

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7/22-29の間にオーストリアで行われたヨーロッパ物理学会にて、RCAPPの専任助教である音野氏が「New probes for bino dark matter with coannihilation at the LHC」というタイトルでトークを行いました。

これは音野氏と本実験室の学生がATLAS物理解析グループで貢献しているチャンネルです。 特にダークマターに焦点を当てたモチベーションで超対称性粒子を探索します。現在データ取得中であるRUN2のデータを用いて、解析されるチャンネルの1つです。

今後のATLAS実験が出す結果に期待が膨らみます!

 


音野氏のスライド

音野氏のスライド



リンク
EPS HEP 2015

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本日2015年6月3日、CERNのLHCにて重心系13 TeVでのデータ取得が始まりました!
2年間のシャットダウンを経て始まったこのRun2では、Run1に比べ約2倍のエネルギーで人類初の領域に踏み込んでいきます。
九州大学のスタッフや学生もATLASグループの一員として、この実験に貢献しています。
Run1でのヒッグス粒子に次ぐ、新物理の発見に向けて期待が膨らみます。

 


アトラス検出器でのイベントの様子

アトラス検出器でのイベントの様子

データ取得開始時LHCコントロールセンターの様子

データ取得開始時LHCコントロールセンターの様子



 

参考HP
CERN press office
ATLAS experiment

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先日、アップグレード後初となる衝突試験を行ったという記事をお伝えしました。
今度は、LHCが今回のランで1つの目標としている、世界で初となる重心系13TeVの衝突試験を行ったというニュースが舞い込んできました。
今回の試験は、13TeVの衝突にアップグレード後の各検出器群が耐えられるかを試したものです。
近いうちに始まるであろう実際のデータ取得開始に向けてさらに期待が高まります!


アトラス検出器での13TeV衝突の様子

アトラス検出器での13TeV衝突の様子


参考URL
CERN

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先日5/5にLHCで、アップグレード後初となるビーム衝突運転が行われました。
重心系900 GeVのエネルギーでの衝突で、LHCにある検出器群のアップグレード後の調整が行われたようです。
今後、予定されている重心系13 TeVの運転に向けて着々と準備が進んでいます!


ATLAS検出器で見られた衝突イベント

アトラス検出器で見られた衝突イベント


参考URL
ATLAS実験

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CERN LHCで、現在、RUN2にむけての準備が着々と進んでいます。長期間のシャットダウンで、アトラス検出器のアップグレードやLHC加速器の補修などが行われてきました。九大素粒子実験研究室からもアトラス検出器のオペレーションなどで貢献してきました。そして、ついに!先日5日にLHCに陽子ビームを入れ、それが無事回っていることが確認されました。数カ月後には衝突を開始し、データ取得が開始される予定です。ヒッグス粒子に続く新物理の発見に期待ですね!


atlantis-6539-logo

アトラス検出器で実際に見られたビームスプラッシュイベント

CB0TZV-VIAAT916.jpg_large

アトラス実験,コントロールルームの様子


 

画像出展
ATLAS experiment

ATLAS twitter

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昨日10月8日の19:45に今年のノーベル物理学賞が発表されました。
受賞者は、フランソワ・アングレール氏とピーター・ヒッグス氏の2名です。

素粒子に質量を与える”ヒッグス機構”を理論的に導いた功績が認められての受賞です。
もちろん決め手となったのはATLAS及びCMS実験におけるヒッグス粒子発見!

九州大学もATLAS実験に参加しています。
この発見についての論文には川越RCAPPセンター長に加え、東城准教授と織田助教(理学部所属)の3名の名前が著者として記載されています。

素粒子物理学部門からのノーベル物理学賞の輩出は2008年の南部先生、小林先生、益川先生の受賞以来になります。
当時と同様、これを機により多くの人に素粒子物理を知ってもらいたいですね!

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